できるだけ痛くない麻酔の工夫
治療中の痛みを抑えるために使う麻酔注射に「麻酔自体が痛かった」という経験をお持ちの方が少なくありません。
当院では、麻酔自体の痛みを軽減するために、細部に渡り工夫を凝らしています。
皮膚や粘膜の感覚を麻痺させる表面麻酔
皮膚や粘膜の感覚を麻痺させるための麻酔です。ジェル状の薬剤を患部に直接塗ることで、麻酔針を刺したときの「チクッ」とした痛みが軽減されます。
麻酔液をゆっくり注入する電動麻酔
麻酔液を一気に注入すると痛みが感じやすくなります。そこで、特殊な装置を使ってゆっくりと麻酔注入します。これによって麻酔を入れるときの痛み・不快感を抑えます。
麻酔薬は温めたものを使用する
麻酔液が冷えていたり、熱すぎたりすると痛みを感じやすくなります。ウォーマーを使って麻酔液を保温することで、注入時の痛みを軽減します。
多くの患者さんに「この病院の麻酔は痛くないですね」と仰っていただいています。
「歯を削らないでください」といった患者さんには
●歯を削る前に詳しく説明
●患者さんが治療方法を選択
どんなに悪い状態でも、患者さんにとっては大切な歯です。たとえ虫歯が大きくても、できるだけ削って欲しくない、あるいは歯を抜かれたくないと思われている方は多いようです。
当院はできるだけ削らない、抜かない、歯を残すための努力は惜しみません。そのため、カウンセリングで患者さんの主訴をきちんと確認し、それを基に「削る」あるいは「抜く」の診断をいたします。
もし、抜くことがベストだと診断した場合は、なぜ抜歯が必要なのかをきちんと説明し、必ず患者さんが納得し同意された上で、治療を始めます。
虫歯や歯周病は細菌感染によって引き起こされる
虫歯や歯周病は細菌感染によって引き起こされますが、その主な原因はバイオフィルムです。歯の表面や歯周ポケット内部に汚れが溜まると細菌が繁殖し、ネバネバとした物質を放出します。それらが結びついて膜を張ったようになるのがバイオフィルムです。
このバイオフィルムができる前に、お口の中の汚れをしっかり取り除くことができれば、虫歯予防に繋がります。
お口の中の状態
お口の中には、沢山の細菌が住んでいますが、主な虫歯の原因となる菌がストレプトコッカスミュータンスレンサ球菌(以後、ミュータンス菌)です。
虫歯のきっかけ
虫歯菌(ミュータンス菌)が、甘い物をエネルギーとして作り出すネバネバによって、歯の表面にバイオフィルムを作ってしまいます。
虫歯の進行
バイオフィルムの中に虫歯菌(ミュータンス菌)や他の細菌が定着し、増殖していきます。
虫歯の要因
バイオフィルムの中の虫歯菌が食べ物の中の「糖質」を材料に酸を作り、徐々にエナメル質を溶かしていきます。これが虫歯の始まりです。砂糖だけではなく、米やパンにも「糖質」は多く含まれており、普通の食事をすれば間違いなく含まれています。
虫歯の進行
C1(エナメル質う触)
虫歯が歯の表面を覆っているエナメル質を溶かして小さな穴が空いた状態です。象牙質に達していないため、痛みはありません。この段階では、フッ素塗布やシーランで治療します。これ以上進行させないよう歯磨きをしっかり行うことが大切です。
C2(象牙質う触)
虫歯がエナメル質の下の象牙質まで進んでいるので、冷たい物や甘い物がしみることがあります。痛みを感じるため、治療の際には麻酔が必要になる場合があります。虫歯の範囲が小さければ、保険適用内の白い詰め物をすることで治療は完了します。
しかし、虫歯が内部で大きく広がっている場合は麻酔をして虫歯の除去を行い、形を整えます。その後に型を採り、詰め物を作成して装着します。
C3(神経まで達したう触)
そのまま放っておくと歯髄(神経)は死に、細菌が根の先に流れ、膿のフクロができます。そのような症状の場合、根管治療という、死滅した歯の神経を取り去り、根の内部(根管)をきれいに殺菌・洗浄する治療を行います。
C4(残根状態)
時にはその膿が歯肉を破って外に排出されることもあります。この段階では、抜歯になるケースが多くなります。
【根管治療】痛みや根のトラブルに悩む方に
●「虫歯が悪化して歯を抜くしかない、と言われた」
●「神経を取ったのに痛みが取れない」
●「何回も根の治療をしているのに再発してしまう」
歯髄(神経)の治療が不十分な場合、再び根の先の病気になることがあります。それを治療をせずに放置すると、やがて神経を破壊し、最終的には抜歯しなければなりません。
こうした状況を阻止し、できるだけ歯を残すように「根管治療」を行います。根管治療は、死んでしまった歯の神経を取り除いた後、歯の根をキレイに洗浄・殺菌し、歯を再び生かすための治療です。